- 2025年3月15日
ニューヨーク・タイムズが「現代アメリカのサブカルチャーを風刺した変幻自在の作品」と評した話題作が日本上陸、『スイート・イースト 不思議の国のリリアン』
虚実ないまぜ、リアルとファンタジーの間を揺れ動く、なんとも不可思議な作品だ。最初の数分、「どう見ればいいのだろうか?」と心の中がゆらゆらしたことを正直に申し上げておきたい。が、自分の鑑賞上のスタンスなどいったん忘れて、映像の流れに身を任せていくと、これが面白い。と同時に、これはとんでもない社会派作 […]
虚実ないまぜ、リアルとファンタジーの間を揺れ動く、なんとも不可思議な作品だ。最初の数分、「どう見ればいいのだろうか?」と心の中がゆらゆらしたことを正直に申し上げておきたい。が、自分の鑑賞上のスタンスなどいったん忘れて、映像の流れに身を任せていくと、これが面白い。と同時に、これはとんでもない社会派作 […]
ニコラス・ケイジがプロデューサーを務めた、話題作にしてヒット作が遂に日本公開される。2024年の独立系映画の全米興収NO.1に輝くとともに、過去10年における独立系ホラーの全米最高興収を記録したという。 「連続殺人事件」がカギとなる「ホラー」作品なのだが、めったやたらに殺しのシーンがあるわけでは […]
高校のテコンドー部に所属するジュヨンと、少年院の学生(だが一時的に外に出て社会生活を送っている)イェジというふたりの少女の成長物語にして恋物語である。物語の舞台は1999年、当然スマホはない。性差別や階級差別などはごく当たり前で、運動部の男性コーチなど「暴力で部員を鍛えてやるのが当然」という感じで […]
『ストロベリーショートケイクス』や『さくら』等で知られる矢崎仁司監督の5年ぶりの新作は、柚木麻子の小説『早稲女、女、男』が原作。監督と共同脚本家による第1回目の打ち合わせが行われたのは2014年であるらしいから、文字通り10年がかりのプロジェクトということにもなる。 そして物語も、主人公カナコの […]
フランスの巨匠監督、ロベール・ブレッソンのいわくつきの一作が4Kレストアで復活した。1971年カンヌ映画祭で初公開されたのち、2012年に日本限定の35mmニュープリント上映が行われたものの、近年ではフランスでも上映不可能であったときく。「きく」と書いたのは私にその知識がなかったからだが、私はとに […]
本編に入る前に、「ただし書き」というか、「イントロダクション」がある。これが無類に面白い。「我々がディズニーをいかにリスペクトしているか、それをわかってほしかったなあ」的な、アニメーション界でひときわ高い階級にいるであろう関係者に対する、さみしさ、皮肉、諧謔などが混ざり切ったような文章が、巧みに翻 […]
ピアニストの兄弟姉妹というと、個人的にはレ・フレールの斎藤兄弟、カティア&マリエルのラベック姉妹、バド&リッチーのパウエル兄弟などを思い出すのだが、本作品は「プレネ姉妹」の実話をモチーフにした作品であるという。私は不勉強にして、日本にも来演経験があるという彼女たちの存在を存じあげていなかったが、な […]
大御所監督・根岸吉太郎の新作は、『ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~』以来16年ぶりとなる脚本家・田中陽造の台本のコラボレーションだ。時代背景は大正時代、テーマは女優・長谷川泰子、詩人・中原中也、文芸評論家・小林秀雄の世にも妙なるトライアングル。今から約100年も前に、こんなふうに自在な視点で互いを […]
スマホはこんなにもクリアに惨事を捉えるのだ。あまりにもクリアなので最初の数分間はドラマの映画を見ているような気分にもなった。が、これは「リアル」なのだ。噴き出る血も、丸腰の人々と武装した集団のやりとりも、胸に刺さるような悲鳴も、爆音も、すべてがその場で起こったそのままなのだと思うと、やるせなさすぎ […]
嘘と真実がメダルの裏表のようにはっきりと分かれていれば、まだわかりやすいのに、現実は決してそうならない。あるひとにとっての嘘があるひとにとっての真実であり、光の当て方によって、ひとつの物事であっても嘘と真実のパーセンテージはたちまち変わってくる。 主人公のイム・サンジンは実に鼻っ柱の強い社会部記 […]