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エンタメ

  • 2024年5月25日

これもまた、パリの現実なのか。“暗部”を炙り出す才人、ラジ・リ監督の最新作『バティモン5 望まれざる者』

 banlieue(バンリュー)という言葉自体は20世紀の頃から知っていた。「バンリュー・ブルー」というジャズ・フェスティヴァルが催されているからだ。といっても私はフランスに行く機会が今なおなく、「どこかの地名なのだろう」と勝手に思い込んでいたのだが、違った。バンリューはフランス語で(パリ)郊外を意 […]

  • 2024年5月25日

収容所の「隣」で幸せな毎日を送る一家の肖像――――観る者の感性があぶりだされる要注目の一作『関心領域』

 こういうアプローチがあるのかと驚かされた。「“静”の不気味さ」、「青空の怖さ」をこれほど思い知らせてくれる作品に出会えるなんて。舞台となっているのは1945年当時の、アウシュビッツ収容所の「隣」。この「隣」というのがポイントだ。とはいえ、日本のように住宅が密集していないし、収容所の周りは「壁」。壁 […]

  • 2024年5月23日

天国から休暇をもらって地上に降りてきた母と、「アメリカで大学教授をしているはず」の娘が過ごした三日間。必見のファンタジーストーリー『母とわたしの3日間』

 夢のある作品だ。藤子不二雄のSFマンガにありそうだな、とも感じた。  母・ポクチャは、亡くなってもう3年目になるが、成績優秀の自慢の娘・チンジュに会いたいとばかりに、天国から3日間の休暇を与えられて地上に降りてきた。母からは娘が見えるし声も聞くことができるけれど、娘から母親は見えないし声も聞こえな […]

  • 2024年5月18日

いつまで「正直者がバカを見なければいけない」のか? 社会の一つの縮図=学校が修羅場と化す『ありふれた教室』

 第73回ベルリン国際映画祭でダブル受賞を果たし、ほかドイツ映画賞の主要5部門受賞、アカデミー賞国際長編映画賞ノミネートなどでも話題を集める一作、『ありふれた教室』が5月17日から全国公開される。  舞台となるのは、とあるヨーロッパの中学校。中心人物は、新たに赴任してきたばかりの先生であるカーラだ。 […]

  • 2024年5月18日

妊娠・出産についての実話を基に制作した群像劇『渇愛の果て、』が公開。有田監督は、満席の来場者に感極まる

 映画『渇愛の果て、』は、「家族・人間愛」をテーマにし、あて書きベースの脚本で舞台の公演を行なってきた「野生児童」主宰の有田あんが、友人の出生前診断の経験をきっかけに、助産師、産婦人科医、出生前診断を受けた方・受けなかった方、障がい児を持つ家族に取材をし、実話を基に制作した、群像劇。助産師・看護師・ […]

  • 2024年5月18日

男として、父親として立ち上がる時が来た。名優アントニオ・デ・ラ・トレ主演のノワール・アクション『ティアーズ・オブ・ブラッド』

 父として、夫として、仕事に就く者として、男として。そのすべての分野で等しく優れている者など、果たして世の中のどこにいるだろうか。どこかに力を注げば必ずどこかがおろそかになり、つまり、どうしようもなくデコボコしてしまう人間像こそが現実のものだろう。この映画の主人公レオは老境に入って久しい人物だが、映 […]

  • 2024年5月11日

「好き」の力が風景を変える。人気漫画を原作にした、逸材「見上愛」の初主演映画『不死身ラヴァーズ』

 「恋に全力」とは、こういう状態をいうのだろう。しかもそれがちっともエゴイスティックでないから気持ちいい。  原作は、高木ユーナの同名漫画。「映画化不可能ではないか」とすら言われてきた作品が、構想約10年、松居大悟監督によってついにスクリーンにかかる。基本的に「熱烈に愛する人」は長谷部りの、「愛され […]

  • 2024年5月11日

映画『あんのこと』の完成披露舞台挨拶が実施。主演・河合は「実在の人物を演じるので、強い気持ちで大切に臨みました」

 映画『あんのこと』が6月7日(金)より新宿武蔵野館、丸の内TOEI、池袋シネマ・ロサほか全国公開となります。このたび本作の公開に先立ち、5月8日(水)に完成披露舞台挨拶付先行上映会を行い、主演の河合優実、共演の佐藤二朗、稲垣吾郎、入江悠監督の実力派キャストらが登壇いたしました。           […]

  • 2024年5月10日

元特殊部隊員がやむを得ず取った行動とは——善悪の概念を揺さぶるクライム・アクション『トランスフュージョン』

 衝撃的な内容だ。軍人とはこんなに切ないものなのか。上の者の命令に従って、がんがん軍事行動をして、自分の命は助かって、退役したところで、出くわした風景がこれなら、いたたまれない。  主人公のライアンは元特殊部隊員。全身これ鋼という感じで、身体能力に優れている。強い者の強さを大いに味わいながら過ごして […]

  • 2024年5月10日

2555年からの使者が2022年に降り立つ。地球の存亡をかけたフランス製SFエンタテインメント『フューチャー・ウォーズ』

 「妙にリアル」なところに惹かれてしまう。逆に言えば、「はるか遠い未来の話」という枠に収まっていない。そう考えると、1950年代や60年代前半の映画で、なかば牧歌的に描かれていたような未来や宇宙の風景は本当に「今は昔」となった。  監督・脚本・製作のフランソワ・デスクラックは2009年からこの作品を […]