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映画

  • 2025年1月1日

日本最古の神社のひとつ、諏訪大社の「“謎”の神事」を追ったドキュメンタリー『鹿の国』

 スリリングな一作である。私はかつて、ピリオド楽器(楽曲が作曲された当時の楽器)を用いたクラシックのコンサートに行ったことがある。ショパン自身が生きていた頃に体験していたかもしれない楽器の響きを可能な限り現代によみがえらせようという試みで、それは私にとってすこぶる新鮮な体験であった。この映画は、それ […]

  • 2024年12月25日

ニューヨーク・タイムズが「スケール感と野心に満ちた、英雄的作品」と称賛。ナチス占領下アムステルダムの記憶に斬新な手法で迫る、『占領都市』

 4時間越えの大作。2時間を過ぎたころに充分な休憩時間が訪れる。  舞台はオランダの大都市アムステルダム。2005年には制作を考えていたとのことだが、撮影時期はパンデミックが大変な猛威を振るっていた頃だ。「人の極度に少ない大都市の風景は、こんなに荒涼としたものなのか」と、ちょっと怖い気分にもなる。 […]

  • 2024年12月24日

「このミステリーがすごい!」の2002年版海外編で第1位を獲得したベストセラーを、名匠ニック・カサヴェテスが鮮やかに映画化。『神は銃弾』

 平和な日々が、突如失われることへの疑問、虚無感、怒り、戸惑い、さまざまなものが映し出される。だが、それでも主人公は前を向き続ける。  主人公は、ボブ・ハイタワーという刑事。元妻とその再婚相手が惨殺され、さらに幼い愛娘が失踪した。ここで往年の映画なら「相手が誰か」と長々と引っ張っていくところかもしれ […]

  • 2024年12月20日

より良い民主主義、より尊厳ある生活、より良い教育、より良い医療制度、新しい憲法を求めて。映画『私の想う国』公開

 2019年にチリのサンティアゴで起こった民主化運動から、その2年後のガブリエル・ボリッチ大統領誕生(当時36歳の若さ)までを追った一作といえようか。民主化運動の引き金は、地下鉄料金の値上げが起きたこと。中心にいるのは若者と女性たちであろうことが映像から伝わる。カリスマ的な力を持つ特定の誰かが上から […]

  • 2024年12月18日

東京国際映画祭 NIPPON CINEMA NOW部門公式出品。北海道・白糠町で生きるアイヌの家族に密着したドキュメンタリー『アイヌプリ』

 タイヨンダイ・ブラクストン(元“バトルス”の音楽家。サックス奏者アンソニー・ブラクストンの息子)が音楽を手掛けた『リベリアの白い血』(2015年)で話題を集め、近年はあのドラマ・シリーズ『Shogun』の監督のひとりとしても活躍した福永壮志の長編第2作。表題の「アイヌプリ」は“アイヌ式”ということ […]

  • 2024年12月15日

主題歌「コーリング・ユー」を生んだ珠玉の名作が、今年3月に亡くなったアドロン監督監修のもと4K修復した『バグダッド・カフェ 4Kレストア』

 不朽のバラード「コーリング・ユー」(先日も街を歩いていたら聴こえてきた)を生んだ映画『バグダッド・カフェ』が4Kレストアのうえ、12月13日から公開されることとなった。「1987年の西ドイツ映画」と書くだけで歳月の流れを感じずにはいられないが、内容は普遍そのもの、今回の上映でさらに多くのファンを増 […]

  • 2024年12月13日

「刺激的で鋭い洞察力に富んだ風刺コメディ」と称賛されたブータン映画の話題作が日本上陸。『お坊さまと鉄砲』

 落語のような物語展開に親しみがわく。私はブータンに行ったことがなく、そもそも「ゾンカ語」の映画を観ること自体初めてなのだが、雄大な自然、人々の笑顔、素直そのもののセリフ(それは、相手がこなまずるければこなまずるいほど「イノセントの鋭さ」を増す)、大いに満喫した。第96回「アカデミー賞 国際長編映画 […]

  • 2024年12月10日

「美しければ、文字なんか読めなくてもいい」。約8年間、既成概念をぶっ壊す試みに迫った力作。『狂熱のふたり~豪華本「マルメロ草紙」はこうして生まれた』

 「こだわりの成就」に立ち会っているような臨場感がある。これほどのこだわり、冒険が成り立ったのは、出版社の度量の大きさ、橋本治のヴァリュー、まだいくばくかの熱さの残っていた時代あってのことだろう。『マルメロ草紙』の発表は2013年のことだが、隔世の感しきりだ。  この映画は、定価35,000円、発行 […]

  • 2024年12月6日

ベストセラー小説/映画のアナザーストーリー。「あの時代」を体験した祖母の回想が、問題児の心を動かす。『ホワイトバード はじまりのワンダー』

 R・J・パラシオ原作のベストセラー小説シリーズ「ワンダー」(『ワンダー 君は太陽』として映画化)のアナザーストーリーとして生まれた一作であるという。始まりは、現代のニューヨークの、なかなかに裕福そうな児童が通っているであろう学校の風景。そこの生徒であった少年ジュリアンが、パリからやってきた祖母と会 […]

  • 2024年12月6日

野うさぎたちは危険や苦難を乗りこえられるのか? 古典的アニメ映画がHDリマスターで復活、『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』

 原作はイギリスの作家リチャード・アダムスによる児童文学(英国カーネギー賞とガーディアン賞を受賞)、主人公は野うさぎ。日本では1980年の夏休みに公開されたことがあるという。などと書いていくと、いかにも子供向け、かわいい動物たちが出てくる夢いっぱいの物語のように思われるかもしれないが、私の印象は正反 […]