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映画

  • 2024年4月29日

人が人を裁くことの重さと向かい合う、約160分のドキュメンタリー、『正義の行方』

 文化庁芸術祭大賞受賞作が、満を持して映画化された。約160分の長編ドキュメンタリーである。  「飯塚事件」をご存じだろうか。1992年に福岡県飯塚市で、女児ふたりが殺害された事件だ。犯人として逮捕された人物は2008年に死刑執行されている。この映画の主眼は真犯人探しではない。大して物的証拠が集まっ […]

  • 2024年4月27日

映画『シンデレラガール』、東京凱旋上映が決定!

 緒方貴臣監督が、伊礼姫奈、筒井真理子らを迎え、「義足は障がいの象徴」とネガティブに捉えていた主人公の義足のモデルやそのマネージャーが、ポジティブに捉えられるようになるまでの心の変化を描く『シンデレラガール』。  全国14館での公開を終え、この度5月24日(金)~5月30日(木)に、Morc阿佐ヶ谷 […]

  • 2024年4月27日

「ママに愛されたい!」。爆弾と化した9歳の少女が怒り、吠え、暴れ、その先には……。『システム・クラッシャー』

 「こんな少女がいるのか」と驚かされる。そしてなんとも言葉の浮かばない気分になる。もしあなたが、子供の親になるに達した年齢であれば、「自分の娘や息子がこういうふうになってしまった場合、親としてどうふるまえばいいのか?」と自らに問いかけることだろう。自分の子供だもの、それはかわいくて当然なはず。実際、 […]

  • 2024年4月26日

あくまでもスタイリッシュに、だが燃えるところは燃える。2024年の「熱血バスケ」が描かれる。『リバウンド』

 努力・青春・勝利といった言葉が似合う一作だ。ちょっと斜に構えて観始めたとしてもそのうち、登場人物たちの、まっすぐな、自分の可能性をただ信じるのみな言動に、心の奥が熱くなっていくはずだ。  ストーリーも、実にストレートである。高校の、弱くて弱くて廃部寸前のバスケットボール部に、ヤンという男がコーチと […]

  • 2024年4月24日

言葉を失う「現実の風景」の数々。第96回アカデミー賞 長編ドキュメンタリー賞受賞作品『マリウポリの20日間』

 胸が痛くなる。しかもこの映画に描かれているのは、「やりあい」ではなく、「一方的な攻撃」だ。2022年2月、ロシアによるウクライナ東部マリウポリへの進攻――――つい数十秒前まで普通に存在していた建物がたったいま爆破され、爆風が吹き、破片が飛び散り、爆音が耳をつんざく。おそらく「なぜ私たちが?」と思う […]

  • 2024年4月24日

どうしてこんなことが? 「良心」とは何なのか? イタリアを揺るがした歴史的事件を映画化。『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』

 重厚な作品だ。観終わったあと、深く内省することになると思うので、これを観た日はその後の予定をあまり入れないほうがいいかもしれない。イタリア語タイトルは『Rapito』、TIFFでは『KIDNAPPED』というタイトルで上映された。両方とも、「誘拐」を意味する。  スピルバーグ監督が映画化を断念した […]

  • 2024年4月13日

尼崎を舞台に、関西出身の豪華キャストが集結した「想定外のホームコメディ」。『あまろっく』

 “尼崎を舞台に、39歳の独身女性、65歳の能天気な父、20歳の父の再婚相手の「想定外の共同生活」を描くホームコメディ”という状況説明だけでも好奇心が高まるが、キャスティングがまた、思い切っていて驚かせる。主演は江口のりこと中条あやみ、そして笑福亭鶴瓶が実にいい味を出す。つまり独身女性を江口、能天気 […]

  • 2024年4月12日

コロナ禍の高級クラブの苦労を映像化。映画『ル・ジャルダンへようこそ』の製作発表会見が行なわれた

 映画『ル・ジャルダンへようこそ』は、銀座の高級クラブ「ル・ジャルダン」のオーナーママ望月明美が新潮社から同タイトルの書籍を出版し、好評な売れ行きでシリーズ第3弾まで発売されている本をベースにした映画。  実店舗のクラブでの撮影も行ない、映画撮影が終盤を迎えたので、製作発表会見を4月10日・グレース […]

  • 2024年4月11日

「外は謎の闇」、極限の状況に置かれた人間がとった行動とは? 強烈な印象を残すSFシチュエーション・スリラー『ザ・タワー』

 一瞬で壊れる日常のもろさ、その後の言動によってあぶりだされる各人の品性。観た後も深い余韻を残すとともに、「こうなった場合、自分はどう行動するだろう。ここまで生き残ることに執着できるだろうか」と自問自答せずにはいられない一作がこの『ザ・タワー』である。  物語の舞台は、フランスのとある団地。団地の住 […]

  • 2024年4月5日

母の過剰な思いは愛なのか、暴力なのか? 娘の心の闇を描くミステリー『毒親<ドクチン>』

 自分もすっかり、たとえば小学生や中学生の頃に習っていた先生がたの当時の年齢よりもかなり年上になってしまった。子供心に「イモだな」という教師は結構いて、たぶんその印象は正しかったのだろうとは思うが、暴力をふるう教師は論外として、「あなたのためを思って」みたいな恩着せがましい口調で説教したり、偉そうに […]