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原田和典

  • 2025年12月19日

映画『世界一不運なお針子の人生最悪な1日』、スイスの小さな町に住むお針子がある日、麻薬取引の現場を……。驚嘆のコメディスリラー

 『Sew Torn』という原題がこんなに素敵な邦題になるとは。内容はまさにこの邦題そのものなのだが、かといってこの言葉におさまるものではない激しさも溢れるほどあり、なんというのだろう、「お針子」という、一見おだやかで平和そうな職業が、こんなにアグレッシヴな瞬間にさらされることがあるのだということを […]

  • 2025年12月18日

映画『これからの私たち – All Shall Be Well』、薄い人情、突き破れない現実。アジア・クィア映画界を牽引するレイ・ヨン監督の話題作

 「アジア」「現実」、その2つのワードが太字になって、こちらの眼前に迫ってくる印象を受けた。  舞台は香港。前半で描かれている「私たち」は、パットとアンジーという女性カップルであると感じた。同性婚はまだ認められていないけれど、ふたりはもちろん仲良し、周りもそれを温かに見守っているように見える。その先 […]

  • 2025年12月17日

映画『悪魔祓い株式会社』、マ・ドンソクが悪魔を相手に、骨太アクションで迫る! ホラー・エンターテインメントの決定版

 ホラーとコメディの要素が入り混じった痛快な一作。「異常行動を繰り返し、医療の力ではどうにもならない妹を助けてほしい」という依頼を精神科医の姉から受けた「悪魔祓いチーム」が大活躍する内容といえばいいか。折しも世の中は悪魔崇拝のカルト集団によって混乱していた。いつまでもその状況ではいけない、と意気ごむ […]

  • 2025年12月16日

映画『シャドウズ・エッジ』、ジャッキー・チェンと気鋭役者たちのチームワークも光る、痛快なサイバー・バトル・アクション

 中国で4週連続興行収入ランキング1位を記録したヒット作が遂に日本上陸。次世代の役者をたっぷりフィーチャーしながら、場数を踏んだ大ベテランが、締めるところは締める。その世代間交流に、さわやかな気持ちになった。  昨年70歳になったジャッキー・チェンが、伝説と呼ばれた元・警察官役を演じる一作。マカオで […]

  • 2025年12月16日

映画『シェルビー・オークス』、一本のビデオテープが禁断の扉を開ける。12年前に失踪した少女は今……?

 “シェルビー・オークス”とは、アメリカ・オハイオ州の町。だが映像を見る限りでは巨大な廃墟といった感じだ。かつては大いに栄えていたそうだから、ゆえに、その「残骸ぶり」が寂しく、怖く感じられるのかもしれない。ある種「踏み入れてはいけない場」という印象も受ける。  そこに踏み込んでしまったのが、人気ホラ […]

  • 2025年12月15日

映画『エディントンへようこそ』、A24製作、アリ・アスター監督の新作は、コロナ禍の地方都市が舞台の“炎上スリラー”

 新型コロナウィルスの恐怖が本格的に世界中の人々を覆い始めたのは2020年の春だったと記憶する。一時は、世界が協力してこの難事に立ち向かおうというような姿勢が垣間見えて、「仲良くしようとすればできるんじゃないか? だとすればなぜそれを普段からしないのか?」という考えにもさせられたが、結局なんだかんだ […]

  • 2025年12月13日

映画『THE END(ジ・エンド)』、地下シェルターでは何が起こっていたか? デストピアとミュージカルの融合を記す話題作

 さまざまな驚きで包んでくる一作といえようか。舞台となるのは「地下シェルター」。取り返しのつかない環境破壊により地上は居住不可能となり、生物はほぼ絶滅して、とあるひじょうに裕福な一家が、そのシェルターを得て、毎日をそれなりにつつがなく暮らしている。シェルター内にはプールもあるし、美術好きな母は住みか […]

  • 2025年12月9日

映画『殺し屋のプロット』、記憶を失う病に侵された孤高の老ヒットマンが、人生最期の完全犯罪に挑む

 初代『バットマン』のマイケル・キートンが監督・主演・製作を手がけた話題作が12月5日から全国公開される。しかも共演者には『ゴッドファーザー』等でおなじみのアル・パチーノもいる! 二人の顔合わせは意外にも今回が初めてとのことだが、映画の酸いも甘いも知りつくしているに違いない大ベテランの邂逅は、文句な […]

  • 2025年12月9日

映画『ピアス 刺心』、若手監督ネリシア・ロウの才気が光る一作。フェンシングと兄弟愛を題材にした必見のスリラー

 エンディングがすごい。いろんな伏線が収束されて、また新たなカタルシスへと突入していくような感じだ。この兄弟愛の濃さ、ロマンティシズムを、一人っ子である私が実感できるときは永遠に来ないのかもしれないが、そのぶん、あらんかぎりの想像力を動員して、自分はこの結末に向かい合った。  兄のジーハン、弟のジー […]

  • 2025年12月9日

映画『ペンギン・レッスン』、人生を諦めた英語教師と1羽のペンギン。実話を基にした話題作

 『フル・モンティ』のピーター・カッタネオ監督が描く一作。舞台は1976年、軍事政権下のアルゼンチン。私はそれを事前に知って、ある程度当時のアルゼンチンについて予習してから見た。とにかく発言ひとつによって、いつ誰が消されるかわからない世の中であることが伝わってきた。  イギリス人の英語教師、トム・ミ […]