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原田和典

  • 2025年3月12日

人気小説を人気監督が映画化。ひとりの女性の、恋をめぐる10年間をあたたかな視点で描く。『早乙女カナコの場合は』

 『ストロベリーショートケイクス』や『さくら』等で知られる矢崎仁司監督の5年ぶりの新作は、柚木麻子の小説『早稲女、女、男』が原作。監督と共同脚本家による第1回目の打ち合わせが行われたのは2014年であるらしいから、文字通り10年がかりのプロジェクトということにもなる。  そして物語も、主人公カナコの […]

  • 2025年3月9日

巨匠ブレッソン監督、いわくつきの1作『白夜』が、4Kレストアで復活

 フランスの巨匠監督、ロベール・ブレッソンのいわくつきの一作が4Kレストアで復活した。1971年カンヌ映画祭で初公開されたのち、2012年に日本限定の35mmニュープリント上映が行われたものの、近年ではフランスでも上映不可能であったときく。「きく」と書いたのは私にその知識がなかったからだが、私はとに […]

  • 2025年3月6日

ディズニー大好きのベイリー監督が愛をこめて制作した“ミッキー史上初のホラー映画”『マッド・マウス ~ミッキーとミニー~』

 本編に入る前に、「ただし書き」というか、「イントロダクション」がある。これが無類に面白い。「我々がディズニーをいかにリスペクトしているか、それをわかってほしかったなあ」的な、アニメーション界でひときわ高い階級にいるであろう関係者に対する、さみしさ、皮肉、諧謔などが混ざり切ったような文章が、巧みに翻 […]

  • 2025年3月1日

難病におかされた天才双子ピアニストが、向かう「夢」の先とは。『デュオ 1/2のピアニスト』

 ピアニストの兄弟姉妹というと、個人的にはレ・フレールの斎藤兄弟、カティア&マリエルのラベック姉妹、バド&リッチーのパウエル兄弟などを思い出すのだが、本作品は「プレネ姉妹」の実話をモチーフにした作品であるという。私は不勉強にして、日本にも来演経験があるという彼女たちの存在を存じあげていなかったが、な […]

  • 2025年2月22日

出会ってしまった3つの才能の行く道。根岸吉太郎監督、16年ぶりの新作『ゆきてかへらぬ』

 大御所監督・根岸吉太郎の新作は、『ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~』以来16年ぶりとなる脚本家・田中陽造の台本のコラボレーションだ。時代背景は大正時代、テーマは女優・長谷川泰子、詩人・中原中也、文芸評論家・小林秀雄の世にも妙なるトライアングル。今から約100年も前に、こんなふうに自在な視点で互いを […]

  • 2025年2月21日

どうしたら人はわかりあえるのか? ベルリン国際映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞&観客賞をW受賞『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』

 スマホはこんなにもクリアに惨事を捉えるのだ。あまりにもクリアなので最初の数分間はドラマの映画を見ているような気分にもなった。が、これは「リアル」なのだ。噴き出る血も、丸腰の人々と武装した集団のやりとりも、胸に刺さるような悲鳴も、爆音も、すべてがその場で起こったそのままなのだと思うと、やるせなさすぎ […]

  • 2025年2月15日

どれが嘘でどれが真実? 混乱も含めて物語全体をじっくりと味わうべきインターネットスリラー『コメント部隊』

 嘘と真実がメダルの裏表のようにはっきりと分かれていれば、まだわかりやすいのに、現実は決してそうならない。あるひとにとっての嘘があるひとにとっての真実であり、光の当て方によって、ひとつの物事であっても嘘と真実のパーセンテージはたちまち変わってくる。  主人公のイム・サンジンは実に鼻っ柱の強い社会部記 […]

  • 2025年2月8日

「文字による交流」が強さを失うことはない。平成初期と令和を交差する2種類の恋。『大きな玉ねぎの下で』

 「大きな玉ねぎの下で」は、ロックバンドの爆風スランプが1985年のアルバムの中で発表したバラード。その後「大きな玉ねぎの下で ~はるかなる想い~」というタイトルでシングル・カットされ、今なお高い人気を持つ。私には「40年前の楽曲を、なぜ今映画のタイトルに?」という思いもあったのだが、物語を知ると、 […]

  • 2025年2月7日

驚愕の展開、予想不能の結末。手に汗握る報道サスペンス。『ショウタイムセブン』公開へ

 公開前から話題沸騰の一作といっていいだろう。「ショウタイムセブン」とは、テレビの国民的人気報道番組「ショウタイム7」のこと。かつて折本眞之輔という熱血キャスターが歯に衣着せぬ発言と態度で視聴者を痛快な気分にしていた番組だ。が、ある物事がきっかけで彼はテレビを降板。ラジオ局で活動している。が、ここに […]

  • 2025年2月1日

映画が、映画館が、ある男の人生をこんなにも豊かなものにした。シネマ・ラヴァー必見。『映画を愛する君へ』

 映画に魅入られた人であれば――この映画をそうではない人が観に行くとも思えないが――、思わず「そうそう、そうなんだよ!」と膝を叩きたくなるに違いない。監督・脚本は、1960年フランス生まれのアルノー・デプレシャン。ここでは、彼の溢れんばかりの映画愛が、ポール・デダリュスというキャラクターに投影されて […]