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原田和典

  • 2025年12月13日

映画『THE END(ジ・エンド)』、地下シェルターでは何が起こっていたか? デストピアとミュージカルの融合を記す話題作

 さまざまな驚きで包んでくる一作といえようか。舞台となるのは「地下シェルター」。取り返しのつかない環境破壊により地上は居住不可能となり、生物はほぼ絶滅して、とあるひじょうに裕福な一家が、そのシェルターを得て、毎日をそれなりにつつがなく暮らしている。シェルター内にはプールもあるし、美術好きな母は住みか […]

  • 2025年12月9日

映画『殺し屋のプロット』、記憶を失う病に侵された孤高の老ヒットマンが、人生最期の完全犯罪に挑む

 初代『バットマン』のマイケル・キートンが監督・主演・製作を手がけた話題作が12月5日から全国公開される。しかも共演者には『ゴッドファーザー』等でおなじみのアル・パチーノもいる! 二人の顔合わせは意外にも今回が初めてとのことだが、映画の酸いも甘いも知りつくしているに違いない大ベテランの邂逅は、文句な […]

  • 2025年12月9日

映画『ピアス 刺心』、若手監督ネリシア・ロウの才気が光る一作。フェンシングと兄弟愛を題材にした必見のスリラー

 エンディングがすごい。いろんな伏線が収束されて、また新たなカタルシスへと突入していくような感じだ。この兄弟愛の濃さ、ロマンティシズムを、一人っ子である私が実感できるときは永遠に来ないのかもしれないが、そのぶん、あらんかぎりの想像力を動員して、自分はこの結末に向かい合った。  兄のジーハン、弟のジー […]

  • 2025年12月9日

映画『ペンギン・レッスン』、人生を諦めた英語教師と1羽のペンギン。実話を基にした話題作

 『フル・モンティ』のピーター・カッタネオ監督が描く一作。舞台は1976年、軍事政権下のアルゼンチン。私はそれを事前に知って、ある程度当時のアルゼンチンについて予習してから見た。とにかく発言ひとつによって、いつ誰が消されるかわからない世の中であることが伝わってきた。  イギリス人の英語教師、トム・ミ […]

  • 2025年12月4日

映画『アフター・オール・ディーズ・イヤーズ』、リム・カーワイ監督の原点となる一作が、デジタル・リマスター版として上映

 2009年にマレーシア・中国・日本合作映画として制作され、その3年後に日本初公開された『アフター・オール・ディーズ・イヤーズ』が、デジタル・リマスターのうえ久々にスクリーン上映される。いまや大物監督であるマレーシア出身、リム・カーワイの初期を代表する一作だ。  モノクロとカラーのコントラストを生か […]

  • 2025年12月4日

映画『マルドロール/腐敗』、腐敗した警察組織の闇。実話をもとにした150分余り

 150分を超える長編。描き方がひじょうに丁寧、たっぷりと行われている印象を受けた。とくに前半の幸せな場面はずいぶん念入りに紹介されているのだが、これがあとで利いてくる。主人公の不幸、孤独、他者からの無理解が深まれば深まるほど、前半の幸せな日々が際立ってくる。ああ、やはりこの映画には長い尺が必要だっ […]

  • 2025年11月30日

『映画版『WE-入口と世界の出口』』、題材は2073年の日本。監督が「芸術の可能性を追い求めたひとつの証」と語る意欲作

 2073年の日本を題材にした話題の舞台を映像化した一作。「2073年」など、ちっとも遠い未来ではない。あと48年すればやってくる。ちなみに今から48年前は1977年、ピンクレディーが大ブレイクした頃だ。そのくらいの距離しかない。  さてこの映画で描かれている2073年、日本国民は上級、中級、下級に […]

  • 2025年11月30日

映画『消滅世界』、性が消えた世界で人々は……。衝撃の話題作が実写映画化

 衝撃的な内容である。この物語の中で、何が消滅しているのか、というと、いろんなものがそれにあたるのだろうが……。物語中の子供の生み方は人工授精によるものがスタンダードであり、夫婦間の性行為はあってはならないものとされる。だからそんなことで子供を生んだ(子供が生まれた)ことがばれてしまったら、第三者が […]

  • 2025年11月27日

映画『兄を持ち運べるサイズに』、知らなかった兄の一面が見えてきた……。実話をもとにした心温まる一作

 小説家・村井理子の実体験を基にした作品。映画タイトルは、兄が先に亡くなって骨になってしまったことに由来する。この兄、かなり自由奔放なキャラクターで妹(村井)はそれを疎ましく思っていた。その自由奔放さゆえか、妙に他人に愛される一面もあったようだが、それも彼女にとっては理解を超える要素の一つであった。 […]

  • 2025年11月22日

映画『医の倫理と戦争』。いま医療の現場で何が起きているのか? 80年前と現在を結び付ける

 これは濃厚な一本だ。「731部隊の真実を追う」ということと、「現在の医療現場が抱える様々な問題に関する医療関係者への取材」を、70数分の中に収めるという離れ業がここにある。私が731部隊について知ったのは松本清張か誰かの著作だったと思う。とんでもないエリートたちが、とんでもない技術をもって、一種の […]