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原田和典

  • 2025年9月11日

詩人、作家、反体制派、亡命者、執事、ホームレス、兵士、活動家、革命家――いくつもの顔を持つ男。『リモノフ』

 正直に言うと私はこの作品に出会うまでエドワルド・リモノフという人物を知らなかった。が、鑑賞することで、リモノフ像が自分の中に入ってきた。こういう体験ができるから映画は面白い。  「やけに攻撃的な男だな」というのが、映画を通じてのリモノフに対する第一印象であり、それは物語が終了に近づくにしたがってい […]

  • 2025年9月7日

第77回(2024)カンヌ国際映画祭「ある視点」部門 正式出品。アリアン・ラベドの長編監督デビュー作、『九月と七月の姉妹』

 「はあ、こういう視点があるのか」と、じっと見入ってしまった。というのも私は一人っ子であり、「兄弟のいるひと」という存在そのものが神秘的であるからだ。  俳優のアリアン・ラベドによる、長編監督デビュー作。ラベドといえば、ヨルゴス・ランティモス監督のパートナーとしても知られる。ヨルゴスの、あの独特の、 […]

  • 2025年8月23日

人気の“ジョン・ウィック・シリーズ”の世界観の中から、復讐のヒロインの物語が生まれた。『バレリーナ:The World of John Wick』

 “最強にして伝説の殺し屋”ジョン・ウィックを題材にしたシリーズの第3弾。ただし今回の主役はアナ・デ・アルマス扮する“イヴ”だ。  イヴとジョン・ウィックの関係は、一種の先輩・後輩関係にあたる。共に、孤児を集めて暗殺者とバレリーナを養成する(このコンビネーションも実に魅力的だ)ロシア系犯罪組織:ルス […]

  • 2025年8月22日

圧倒的なライヴ感! 狂言を生きる人間国宝、野村万作に迫るドキュメンタリー、『六つの顔』

 2023年に文化勲章を受章した人間国宝の狂言師・野村万作に迫るドキュメンタリー。観終えたあと、タイトルの『六つの顔』は、まさしく言い得て妙だとうなずかされた。1931年生まれの現役は他に山田洋次、大村崑など本当に数少ない。この域に達してもまだ「芸の道に終わりはない」とばかりに、技を磨き続ける姿勢が […]

  • 2025年8月14日

ノルマンディー上陸作戦に関する機密文書をナチスへ渡すな! 負傷兵は、スパイの正体を突き止めることができるのか? 『FOG OF WAR 見えざる真実』

 オリジナル・タイトルは“戦争の霧”という感じか。画面は思いっきり鮮明だが、情報戦をモチーフにした物語展開は確かにも“霧の中”という感じだ。中心人物のひとりは、ケガのために戦地フランスから戻ってきた米軍兵士・ジーン。婚約者・ペニーの叔父夫婦が住むアメリカの片田舎で暮らすようになった彼だが、その近所に […]

  • 2025年8月8日

Jホラーの古典中の古典が、製作から25年を経て初の劇場公開。『呪怨』『呪怨2』

 今からちょうど25年前、2000年にレンタルビデオ(VHS)として登場し、口コミによって世界に拡散。インターネット草創期の時代、これはたいへんな快挙であった。その『呪怨』『呪怨2』が、制作から四半世紀を経て、4Kリマスターで劇場上映されることになった。  監督・脚本の清水崇自身が映像や音声の監修を […]

  • 2025年8月3日

生とは何か、人間の尊厳とは何か。歴史的2作品が4Kでロードショー。『ジョニーは戦場へ行った』『野火』

 終戦80年に関連し、古典的な2作品が4K版として8月1日から全国順次ロードショーされる。  『ジョニーは戦場へ行った』はダルトン・トランボが原作・脚本・監督を務めたアメリカ映画。トランボは『ローマの休日』『黒い牡牛』『スパルタカス』などの脚本を担当した偉才だが、レッドパージの被害者でもある。物語の […]

  • 2025年8月3日

古典的名作小説を現代的な感性で映画化。第77回ロカルノ国際映画祭でも称賛の『美しい夏』

 権威あるストレーガ賞を受賞した同名小説(原作:チェーザレ・パヴェーゼ)の映画化。その小説は1940年頃から書かれ、49年に出版されたが、映画で描かれているのは1938年、イタリア・トリノの情景。つまり戦争の暗雲が迫りつつあった頃だ。ちなみに日独伊三国同盟は40年9月に結ばれている。  主人公は10 […]

  • 2025年8月3日

時を超えて訴える、声なき者たちの物語。親子が共同で監督したドキュメンタリー。『よみがえる声』

 朴壽南(パク・スナム)と朴麻衣(パク・マイ)の親子が共同で監督した140分超のドキュメンタリー。タイトルは、この作品が約40年前から朴壽南が撮り続けていた16mmフィルムを基に制作されたこと、「大正昭和の日本における朝鮮人の受難史」を風化させるわけにはいかないという強い決意の表れであるとみた。   […]

  • 2025年8月2日

アイルランド語でラップするヒップホップ・ユニットが、半自伝的な作品で自ら主演。『KNEECAP/ニーキャップ』

 2017年に結成されたヒップホップ・ユニットであるニーキャップが、みずから“自身の物語”を演じる一作。力道山が主演した『力道山物語 怒涛の男』などを思い起こしていただければ、それほどイメージの異なることはないのではと思う。  彼らの芸風の特徴は、アイルランド語を用いているところにある。この言語は2 […]