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エンタメ

  • 2024年12月10日

「美しければ、文字なんか読めなくてもいい」。約8年間、既成概念をぶっ壊す試みに迫った力作。『狂熱のふたり~豪華本「マルメロ草紙」はこうして生まれた』

 「こだわりの成就」に立ち会っているような臨場感がある。これほどのこだわり、冒険が成り立ったのは、出版社の度量の大きさ、橋本治のヴァリュー、まだいくばくかの熱さの残っていた時代あってのことだろう。『マルメロ草紙』の発表は2013年のことだが、隔世の感しきりだ。  この映画は、定価35,000円、発行 […]

  • 2024年12月6日

ベストセラー小説/映画のアナザーストーリー。「あの時代」を体験した祖母の回想が、問題児の心を動かす。『ホワイトバード はじまりのワンダー』

 R・J・パラシオ原作のベストセラー小説シリーズ「ワンダー」(『ワンダー 君は太陽』として映画化)のアナザーストーリーとして生まれた一作であるという。始まりは、現代のニューヨークの、なかなかに裕福そうな児童が通っているであろう学校の風景。そこの生徒であった少年ジュリアンが、パリからやってきた祖母と会 […]

  • 2024年12月6日

野うさぎたちは危険や苦難を乗りこえられるのか? 古典的アニメ映画がHDリマスターで復活、『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』

 原作はイギリスの作家リチャード・アダムスによる児童文学(英国カーネギー賞とガーディアン賞を受賞)、主人公は野うさぎ。日本では1980年の夏休みに公開されたことがあるという。などと書いていくと、いかにも子供向け、かわいい動物たちが出てくる夢いっぱいの物語のように思われるかもしれないが、私の印象は正反 […]

  • 2024年12月5日

「栄養学」と「スリラー」の、驚きの出会い。2023年・第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品作品『クラブゼロ』

 色合いが澄み切っている。調度品のフォルムも配置も澄み切っている。チリひとつない、指紋ひとつついていない感じか。人間が入ろうとしても、「生々しいものは拒否」とばかりにはじかれてしまいそうだ。  が、その「澄み切った空間」が、この映画では学校の教室であることを知る。しかも名門校である。ここに赴任してき […]

  • 2024年11月29日

『カメラを止めるな!』上田慎一郎監督の最新作。豪華キャストによる痛快なクライムエンターテインメント『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』

 一大エンタテインメント作品だ。そして「良い人」と「悪い人」の違いなど本当に紙一重で、場を流れる空気や立場によって、そんなものはあっという間に切り替わるものなのだということも伝えてくれる。動き、セリフともにヴィヴィッドで、なんというか、鮮やかな色のついた「動く劇画」を見ているような気分も覚えた。前半 […]

  • 2024年11月27日

100年前に発表された谷崎潤一郎の名作小説を、クリエイティヴに新解釈、『痴人の愛』

 谷崎潤一郎といえば『痴人の愛』、『痴人の愛』といえば谷崎潤一郎というところがあるのではないか。なんといってもネーミングが良い。「痴人」と「愛」のマリアージュなど、ふつう考えつかない。ただ、実際にそれを読んだことがある、いま生きている人がどのくらいいるか。私は増村保造監督の映画『痴人の愛』(1967 […]

  • 2024年11月27日

鑑賞は自己責任で! 嘔吐者続出の過激ホラー、今度はクリスマスが舞台『テリファー 聖夜の悪夢』

人気シリーズの第3弾。前作『テリファー 終わらない惨劇』は、全世界で1570万ドルの収益をたたき出したという。「嘔吐、失神者が続出したことで話題となった」ともあるが、この最新作『テリファー 聖夜の悪夢』を観ても、それは納得できる。なんというか、アート・ザ・クラウンというキャラクター自体が嘔吐級の恐怖 […]

  • 2024年11月24日

「モレッティ監督の最高傑作」との声も高いコメディ作品が日本上陸。『チネチッタで会いましょう』

 『監督ミケーレ黄金の夢』、『親愛なる日記』などで高く評価されるベテラン、ナンニ・モレッティ監督の半世紀に及ぶキャリアの集大成との声も高い一作。原題は『A Brighter Tomorrow』という。希望の明日、といったところか。  そしてこの映画では、モレッティ自身がベテランの映画監督・ジョヴァン […]

  • 2024年11月22日

『死ぬことは、生きること』をテーマにした「不謹慎エンターテイメント」が遂に全国公開。『カオルの葬式』

 スペインやシンガポールからもやってきたスタッフと制作し、ニューヨークでも上映されて喝采を浴びたという一作。さてはどんなグローバルな内容なのかと思ってみたが、これが実は相当に「ローカル」かつ「トラディショナル」なモチーフ。そこに生きている者ならばいつか直面しなければならない問題「死」をぶつけてきて、 […]

  • 2024年11月21日

タイ国内で3週連続NO.1の興行収入を記録。実話に基づくサスペンス・ホラーの話題作『バーン・クルア 凶愛の家』

 じわじわと怖さが迫る。異様な目の色や鮮血もそれなりにショッキングだが、この映画でいちばん恐怖を抱かせるのは「得体のしれない何かに徐々に巻き込まれていき、しまいには後戻りできなさそうな場所にまで行ってしまう人間の心理」ではないかと、私は感じた。加えて、いささか寓話めいた展開に「明日は我が身であっても […]