- 2023年11月10日
「罪という字を消して勇気と書く。愛という字を消して君と書く……」。全身全霊の愛とは何か、観る者に問う『蟻の王』
1960年代の実話、いわゆる“ブライバンティ事件”に基づく映画だ。 イタリアのピアチェンツァに住む主人公のアルドは詩人で劇作家、蟻の生態研究者。見識に富む、ひじょうに知的な人物だ。だが彼は同性愛者であるがゆえに、カトリックとマルキシズムの国では、とんでもない無法者とみなされる。やがて生徒のエット […]
1960年代の実話、いわゆる“ブライバンティ事件”に基づく映画だ。 イタリアのピアチェンツァに住む主人公のアルドは詩人で劇作家、蟻の生態研究者。見識に富む、ひじょうに知的な人物だ。だが彼は同性愛者であるがゆえに、カトリックとマルキシズムの国では、とんでもない無法者とみなされる。やがて生徒のエット […]
作家にして弁護士でもある五十嵐律人・原作の法廷ミステリー小説(第62回メフィスト賞を受賞)が、映画化された。個人的には「えっ、そんな考えがあるのか」、「そんな時間への捉え方があるのか」、「加害/被害への視点が、こんなにも立場ひとつで変わるのか」等、驚かされる瞬間が続出で、同時に、(疑似だとしても) […]
日本のどこかで今も起きていそうな話だが、映画の基になっているのは1997年から数年間、スペイン・ガリシア州の村民とオランダ人夫婦の間で実際に起きた軋轢だ。映画ではそこが「フランス人夫婦」の話になっている。 ガリシア州の、ある村に、フランス人の夫婦が越してきた。緑豊かな山岳地帯で、オーガニックな農 […]
日本製メガネの95パーセントが福井県で生産されているとは、私はここで初めて知った。なぜ福井なのか? その始まりはいつだったのか? 等が、映画を観ることによってこちらのからだに刻み込まれてゆく。 舞台となるのは明治37年、福井県足羽郡麻生津村。1904年、日清戦争勃発の年である。農作業主体の村だっ […]
『オー!マイキー』、『ミロクローゼ』等が話題を集めた石橋義正が、約10年ぶりに監督作品を発表した。竹野内豊と山田孝之を核に据えた、重厚かつミステリアスな一作だ。 40年以上も会っていなかった父の訃報を聞いて、萱島(竹野内豊)は田舎にある生家に向かう。父が所有していた山を売るためだ。そしてその土地 […]
2021年に公開された『まともじゃないのは君も一緒』の監督・前田弘二と脚本・高田亮が再び組んで、〈おかしな二人の物語〉第二弾を完成させた。今回はコンビニで働く女性・園子と、植木屋で働く男性・トワの物語。トワは人類の滅亡や世界平和について考えることに頭脳のほとんどを使っていて、恋らしきものをせずに大 […]
全3部で構成されたSF作品。徹底的にアブストラクト(抽象的)だ。「ここがこうだから、こうなって、こうなるんだろうな」的なこざかしい組み立てをしながら観ることなど一切忘れて、画面、セリフ、表情に浸るに限る。観る人の感慨の数だけ正解が存在する作品なのではないか、そんな思いもよぎった。 ホームページの […]
まず、タイトルがいい。「毒舌」と「弁護」という、どう考えても合いそうにない言葉がくっついて、観る者の興味に訴える。本作は2023年の旧正月に合わせて香港で公開され、同国の映画史上初の1億香港ドルを突破、最終的に1.21億香港ドル(約22億円)の興収をあげたという。「香港映画といえばアクションとかカ […]
規模の大小こそあれ、いつでもどこでも起こりそうな話だ。正義感を持つ人物がいれば、それを快く思わない人たちも必ずいる。 この映画も実話が基になっている。主人公のモーリーン・カーニーはフランスの原子力企業に勤め、労働組合の代表を務めている。あるきっかけで、彼女は「闇」を知ってしまう。それは会社の未来 […]
年に一度の大規模なヘアコンテストが行われる当日、そこへの参加が決まっていたカリスマ美容師の死体が、頭皮を切り取られた形で発見された。 その情報が流れた控室は、当然ながら混乱する。尋ねられてもいないのに自分は犯人ではないと言う者あり、言葉巧みに誰が犯人かを割り出そうと試みる者あり、噂が噂を呼ぶ場面 […]