TAG

クロックワークス

  • 2024年2月16日

「すさまじい威力の拳をもってしまったがために」……。男の運命と憤怒を描く韓国ノワール『THE WILD 修羅の拳』

 「ひとつの技能に卓越しすぎてしまった男の悲哀」が描かれている。主人公は、元ボクシング選手のウチョル。彼は「賭けボクシング」で相手と戦い、結果、その相手は絶命した。もっとも実際は「激しく殴られたから、すなわち死んだ」というほど簡単なものではなく、相手だって同じくらいのウエイトのあるボクシング選手なの […]

  • 2024年2月7日

俺を誘拐犯人にしたのは誰だ? 「バディもの」の枠を超えたスリル満点の一作『ジェントルマン』

 ガイ・リッチー監督の2011年公開映画『ジェントルメン』とは別作品。あちらが複数形なら、こちらは単数形で迫る。主役のチ・ヒョンスに扮するのは、映画『神と共に』シリーズ(韓国で2700万人を動員)や、ドラマ『キングダム』シリーズでも知られるチュ・ジフン。興信所の超辣腕社長としてダンディな毎日を過ごし […]

  • 2024年1月25日

名優チョン・ウソンの監督デビュー作は、クライム・サスペンス+アクションの醍醐味が炸裂する。『ザ・ガーディアン/守護者』公開

 『私の頭の中の消しゴム』『無垢なる証人』など数々の作品で知られる人気俳優、チョン・ウソンの話題作。彼は主演を務めるだけではなく、監督もこなしている。かつてミュージック・ビデオをディレクションしたことはあるものの、映画監督に取り組むのは今回が初めてのことであるらしい。2022年のトロント国際映画祭で […]

  • 2023年12月29日

視覚と聴覚の双方を揺さぶる、実話を基にした戦争アクション『アンブッシュ』

 「実話をもとにした作品」であると知り、いきなりビビる。そして、「現在進行形の、最新テクノロジーを駆使した戦争とはこういうものなのか。ドローンはこのように活用されるのか。装甲車は本当に分厚い、鎧のような仕様なのだな。“海ゆかば”の時代とはえらい違いだ。だが人の命が粗末にされることには、結局同じなのだ […]

  • 2023年11月24日

ベンソン&ムーアヘッドの黄金コンビが、ロサンゼルスの湿り気を画面から放つ。『サムシング・イン・ザ・ダート』公開

 私がロサンゼルスに行った経験のあるひとから聞く感想は、「気候のあたたかさ」「太陽の輝き」「陽気な音楽」だったりするのだが、この映画で描かれているのはミステリアスな、いつまでも晴れない霧のような、しめっぽく、暗い、ロサンゼルスの姿だ。  物語は基本的に、老朽化の進むアパートに住むふたりの男、リーヴァ […]

  • 2023年11月17日

PHANTOM(幽霊)の正体を突き止めろ! 日本支配体制時代を舞台としたスパイ・アクション『PHANTOM/ユリョンと呼ばれたスパイ』

 舞台は1933年の京城(ソウル)。ご存じかと思うが1910年から45年まで朝鮮半島は大日本帝国に支配されていた。「京城」と名付けたのも日本側の意志だ。臣民として生き、日本語を覚え、しゃべり、日本人と同化することを考えていたひとも、それだけはいやだと自身のルーツに忠実にあろうとしたひともいた。その「 […]

  • 2023年10月13日

「自分中心世界」「あくなき承認欲求」を希求した末に、彼女が体験したものとは? 『シック・オブ・マイセルフ』公開

 ものすごい作品だ。どこをどうすればこんな性格の主人公に生まれ育つのだろう。「ノルウェーのアカデミー賞」ことアマンダ賞では5部門にノミネートされ、2022年カンヌ国際映画祭「ある視点」部門にも出展された話題作。この「視点」はとんでもないと、おののきながら見入った。  主人公・シグネはいうなれば、承認 […]

  • 2023年5月12日

フリークスvs鍵十字。自由と多様性が屈することは、決してない! 映画『フリークスアウト』

 異色作『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』の監督、ガブリエーレ・マイネッティが遂に新作を発表した。ヴェネツィア国際映画祭でコンペティション部門に選出され、ロッテルダム国際映画祭で観客賞、アカデミー賞で6部門を受賞した話題作『フリークスアウト』が5月12日から全国公開される。  私は『皆はこう呼んだ、鋼鉄 […]

  • 2023年5月4日

4つの都会を舞台に、一人の女性の「あり得たかもしれない人生」を描く話題作『ジュリア(s)』

 人生は偶然の集積なのかもしれない。あのとき、あの人に出会っていなかったら。もしもあの電車ではなく、次の電車に乗っていたら。なにがきっかけで、どう変わるかわからないのが人生だ。  5月5日から全国公開される『ジュリア(s)』は、そんな“生の真理”(せいのしんり)的なものを、ユニークな手法で描き出す一 […]

  • 2023年4月18日

その道化師たちに気をつけろ! オーバーツーリズムへの警鐘にもなる、手加減なしの殺戮エンタテインメント『ベネシアフレニア』

 この監督も脚本家も皆、心に狂気を飼っているのではないか。何がどうなったら、ここまでの恐ろしさを映画中に横溢させることができるのか。なんたるチームを組んだのだ、と思ったら、アレックス・デ・ラ・イグレシアがひとりで監督も脚本も(こちらはホルヘ・ゲリカエチェバァリアと合同)で手掛けていたのだった。クエン […]